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転職したものの、前の会社のほうが自分に合っていた気がする。あのとき辞めなければよかったのかもしれない——第二新卒で環境を変えたあと、そう思う人は少なくない。
結論から言えば、出戻りは実際にある選択肢で、辞め方さえこじれていなければ検討の余地はある。ただし戻れるかどうかは、こちらの気持ちではなく前職側の事情で決まる部分が大きい。何が判断材料になるのか、どう打診すればいいのか、戻ったあとに何が起きるのかを順に整理する。
- 出戻りの可否は、辞め方と、前職に今その席があるかでほぼ決まる
- 「前職が良かった」のか「今がつらいだけ」なのかを先に分ける
- 打診先は人事ではなく、当時の直属の上司が最も自然
- 戻れても待遇や役割は元どおりとは限らない。条件は書面で確認する
出戻り転職とは、一度辞めた会社にもう一度入ること
退職者の再雇用のこと。制度として窓口を持っている会社と、個別の判断で受け入れる会社がある。
人手不足を背景に、辞めた人を積極的に呼び戻す仕組みを持つ企業は増えている。退職者向けの連絡網を用意している会社もあれば、そうした制度はなく現場の判断で決まる会社もある。
制度の有無を尋ねるときは、退職した人の再雇用について決まりがあるかと聞くと通じやすい。窓口が用意されていない会社でも、前例があるかどうかは人事が把握していることが多い。前例が一件でもあれば、話は進めやすくなる。
第二新卒の場合、辞めてから1〜2年以内であることが多い。この期間の短さは不利にも有利にも働く——仕事の進め方を覚え直す必要がないぶん受け入れ側の負担は小さいが、「またすぐ辞めるのでは」と見られる面もある。
受け入れられやすいのはどんな場合か
こちらの希望より、辞め方・在籍時の評価・今その席が空いているかで決まる。
前職側から見たときに何が判断材料になるかを並べると、次のようになる。自分がどこに当てはまるかを確かめてみてほしい。
| 見られる点 | 受け入れられやすい | 難しくなる |
|---|---|---|
| 辞め方 | 引き継ぎを済ませ、円満に退職した | こじれた・急に辞めた |
| 在籍時の評価 | 仕事ぶりを覚えている人が残っている | 評価が芳しくなかった |
| 空いている席 | 同じ職種で募集が出ている | 人員が埋まっている |
| 辞めてからの期間 | 半年〜2年程度 | 5年以上で組織が変わった |
| 戻りたい理由 | 前職でやりたいことが具体的にある | 今の職場から逃げたいだけ |
※ 表は横にスクロールできます
5つのうち、自分で今から動かせるのは最後の1つだけだ。だからこそ、戻りたい理由の中身を先に整理しておく価値がある。
席が空いているかどうかは自分では調べにくいが、求人サイトに前職の募集が出ていれば手がかりになる。同じ職種で募集が出ているなら、少なくとも人が足りていない状態にはある。募集要項に書かれた条件は、戻る場合の目安にもなる。
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戻りたいと思ったとき、先に確かめること
前職が良かったのか、今がつらいだけなのか。この2つは似ているが別物。
戻りたい理由を紙に書き出す
「前職では任されていた仕事があった」「あの上司にもう一度教わりたい」のように具体的に書けるなら、前職への希望と言える。一方で出てくるのが「今の職場が合わない」ばかりなら、それは今の環境の問題であって、前職に戻れば解決するとは限らない。
書き出したものは、1週間おいてもう一度読み直したい。今の職場で嫌なことがあった直後に書いたものは、前職を実際より良く見せていることがある。時間を置いても同じことが書けるなら、それは環境ではなく中身への希望だと考えてよい。
辞めた原因は解消しているか
辞めた理由が特定の上司との関係なら、その人がまだ同じ部署にいるかを確かめる。制度や働き方が理由だったなら、それが変わったという具体的な話があるかを聞く。原因がそのまま残っているなら、戻っても同じことが起きる。
今の職場を辞めることの重さ
出戻りは、今の会社を短期間で辞めることとセットになる。職務経歴に短い在籍がもう一つ増える意味は、次に別の転職をするときに効いてくる。急がずに判断したい。
打診の仕方と伝え方
連絡先は人事より、当時の直属の上司。制度がある会社なら窓口を通す。
誰に連絡するか
人事に直接応募するより、当時の上司や一緒に働いていた先輩に個人的に相談するほうが話が進みやすい。現場が必要としていれば、そこから人事に話が上がる。退職者向けの窓口が用意されている会社なら、そちらを使う。
連絡の手段は、在籍していたときに使っていたものが自然だ。個人の連絡先を知っているならそれでよく、無いなら会社の代表窓口に問い合わせるより、共通の知人を介したほうが話が早いこともある。
どう切り出すか
近況を伝えたうえで、戻る可能性があるかを尋ねる順番が自然だ。「またお世話になりたいのですが枠はありますか」と単刀直入に聞くより、「今こういう仕事をしていて、あらためて御社の◯◯に関わりたいと思っている」と、戻りたい中身から話す。
言わないほうがよいこと
今の職場の不満を並べるのは避けたい。聞く側は「うちでも同じことを言うのでは」と受け取る。辞めたときの判断についても、過度に謝る必要はない。当時の選択は当時の情報でしたことなので、事実として簡潔に触れれば足りる。
戻ったあとに起きやすいこと
席はあっても、待遇・役割・周囲の見え方は辞める前と同じにはならない。
待遇が元どおりとは限らない
中途採用の枠で入り直すことになるため、給与や等級が退職時より下がることがある。逆に、他社で身につけたことが評価されて上がる場合もある。どちらにしても、提示された条件は口頭ではなく書面で確認する。
入社日の扱いも確認しておきたい。勤続年数がリセットされるか通算されるかで、有給休暇の付与日数や退職金の計算が変わる会社がある。ここは口頭では曖昧になりやすいので、書面に書かれているかを見る。
一度辞めたことは覚えられている
好意的に迎えてくれる人が多い一方で、辞めた事実を意識する人もいる。最初の数か月は、前と同じ距離感で振る舞えると思わないほうがよい。
次に辞めにくくなる
戻してもらった経緯があるぶん、合わないと感じても言い出しにくくなる。これは戻る前に想像しておいたほうがいい負担だ。
出戻り以外の選択肢と並べて比べる
戻るか戻らないかの二択にすると、条件が悪くても戻る方向に傾きやすい。
実際には、今の会社で部署を変える、前職と似た環境の別の会社を探す、今の職場でもう半年様子を見る、といった選択肢が並んでいる。
なかでも社内での異動は見落とされやすい。同じ会社の中で動けるなら、職務経歴に短い在籍をもう一つ増やさずに環境を変えられる。まず今の会社の異動の仕組みを確かめてから、外の選択肢と比べても遅くない。
前職に打診しつつ、同時に他社の求人も見ておくと、提示された条件が妥当かを判断する材料が持てる。
よくある質問
Q1. 円満に辞めていなくても出戻りはできますか?
A. 難しくなりますが不可能とは限りません。当時の関係者が異動や退職で入れ替わっている場合もあります。まずは連絡が取れる人に近況を聞くところから始めてください。
Q2. 出戻りだと選考は簡略化されますか?
A. 会社によります。面談だけで決まることもあれば、通常の中途選考と同じ手順を踏むこともあります。簡略化を前提にせず、志望理由は用意しておくほうが安全です。
Q3. 今の会社にはいつ伝えればよいですか?
A. 前職から正式な内定が出てからです。打診の段階で今の会社に話すと、どちらも決まらないまま立場が悪くなります。
まとめ
出戻りは特別な選択ではなく、条件が合えば成り立つ普通の転職の一つだ。ただし成否の大半は、辞め方と前職側の事情という、いま自分では動かせない要素で決まる。
戻る決断をした人も、しなかった人も、判断の材料は同じところにある。前職の今の状況と、自分が何を取り戻したいのかの2つだ。どちらも人に聞かなければ分からないので、動くなら早いほうがいい。
- 可否を決めるのは辞め方・在籍時の評価・今その席があるか
- 「前職が良かった」と「今がつらい」を先に切り分ける
- 辞めた原因が残ったままなら、戻っても同じことが起きる
- 打診先は人事より当時の上司。戻りたい中身から話す
- 待遇は元どおりとは限らないので、条件は書面で確認する
- 戻る・戻らないの二択にせず、他の選択肢と並べて比べる
まずは戻りたい理由を書き出して、それが前職でなければ満たされないものかどうかを確かめるところから始めてほしい。
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