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「3年以内に辞めると退職金は出ない」という共通のルールは、どこにも存在しません。退職金は法律で義務づけられた制度ではなく、あるかどうかも、勤続何年から出るかも、会社ごとの規程で決まります。
確かめる順番は、就業規則 → 退職金規程 → 人事への確認です。そして中小企業退職金共済(中退共)に加入している会社なら、退職金を請求せずに次の会社へ持ち越せる仕組みもあります。
退職を切り出す前に、「3年以内だと退職金は出ないらしい」と聞いて手が止まっている方は少なくありません。金額が小さいなら気にしなくていいのか、それとも数か月待つべきなのか、判断材料がないまま悩むことになりがちです。
この記事では、退職金の仕組みを公的な統計と制度の規定から整理し、自分の会社の扱いを調べる手順まで示します。
退職金は、法律で義務づけられた制度ではありません
労働基準法に、退職金を支払わなければならないという定めはありません。退職金を出すかどうかも、いくら出すかも、各社が就業規則や退職金規程で自由に決めています。
一方で、いったん規程で定めた以上、それは労働条件の一部になります。会社が理由なく支払わないことはできません。
つまり考えるべきは「第二新卒だから出ないのか」ではなく、「自分の会社の規程がどうなっているか」です。ここを取り違えると、本来受け取れるはずの退職金を確認しないまま辞めることになります。
退職給付制度がある会社は4社に3社。規模で差が大きい
厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、退職給付(一時金・年金)制度がある企業の割合は74.9%です。ただし企業規模によって差が大きく開きます。
| 常用労働者の規模 | 退職給付制度がある企業の割合 |
|---|---|
| 1,000人以上 | 90.1% |
| 300〜999人 | 88.8% |
| 100〜299人 | 84.7% |
| 30〜99人 | 70.1% |
| 全体 | 74.9% |
出典:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」(常用労働者30人以上の民営企業3,768社の回答)
平成30年の同じ調査では80.5%でしたので、5年で5.6ポイント下がっています。産業別でも幅があり、金融業・保険業が92.8%、製造業が85.6%、情報通信業が74.6%、宿泊業・飲食サービス業が42.2%です。
規模と業種でおおよその見当はつきますが、あくまで全体の傾向です。自分の会社に制度があるかどうかは、確かめる以外にありません。
転職先の制度についても同じで、求人票の記載から読み取れる範囲には限りがあります。応募前にどこまで確認できるかは求人票の見方で整理しています。
「勤続何年から」は会社の規程で決まります
退職金規程には、支給の対象となる最低勤続年数が定められているのが通常です。あわせて、自己都合退職と会社都合退職で要件や支給率を分けている会社も多くあります。
ここで大事なのは、「3年以内なら出ない」という共通のルールは存在しないということです。2年で出る会社もあれば、5年に満たないと出ない会社もあります。よく見かける「3年」という数字は、多くの会社が採用している例のひとつにすぎません。
そもそも何年目に動くのが自分にとって良いのかを迷っている段階なら、退職金だけを判断軸にしないほうが決めやすくなります。年次ごとの見え方は第二新卒は何年目で転職すべきかで整理しています。
自分の会社の扱いを調べる3つの手順
順番はこうなります。
1. 就業規則を見る
常時10人以上の労働者を使用する事業場には、就業規則の作成と周知が労働基準法で義務づけられています。社内サーバーや共有フォルダに置かれていることが多く、見るのに申請が要る会社はまれです。
2. 退職金規程を探す
就業規則の本体ではなく、別冊の「退職金規程」「退職手当規程」として分けている会社が大半です。支給要件と算定方法はこちらに書かれています。
3. 見つからなければ人事・総務に聞く
「退職金規程の支給要件を確認したい」と伝えれば足ります。退職の意思を伝える必要はありません。聞きにくければ、ライフプランを考えるためという理由で構いません。
なお、入社時に受け取った労働条件通知書にも退職金の有無が記載されている場合があります。手元にある書類から確認できることは労働条件通知書で必ず確認する7項目にまとめています。
退職金の有無を含めて、求人ごとの条件を細かく確認したい場合は、業界に詳しいエージェントに聞くのが早道です。営業経験があってSaaS業界も見てみたい方はSaaS特化のエージェントに無料相談するなら、求人票に書かれていない条件面まで確認できます。
と、比較の材料が手に入ります。
中退共なら、受け取らずに次の会社へ持ち越せます
退職一時金制度がある企業のうち42.0%が、中小企業退職金共済(中退共)を使っています。従業員30〜99人の企業に限ると48.5%と、およそ半数です。
中退共には通算という仕組みがあります。加入企業から別の中退共加入企業へ転職した場合、前の会社での掛金納付実績をそのまま新しい契約に引き継げます。条件は次の3つです。
- 掛金が12か月以上納付されていること
- 前の企業を退職した後、3年以内に新しい企業で中退共制度に加入すること
- 前の企業で退職金を請求していないこと
3つ目が分かれ道です。退職時に請求して受け取ってしまうと、通算はできなくなります。金額が小さいからと請求してしまう前に、転職先が中退共に加入しているかを確認してください。
なお、会社都合などで転職した場合は、掛金納付月数が12か月未満でも通算できます。この場合は退職事由についての厚生労働大臣の認定が必要です。
試用期間中は、そもそも加入していないことがあります
中退共は原則として従業員全員を加入させる制度ですが、試用期間中の従業員は加入させなくてよいとされています。期間を定めて雇用される従業員や短時間労働者も同様です。
入社から間もない時期に退職する場合、掛金が1か月も納付されていない可能性があります。加入日は会社に確認できます。
退職金を待ってから辞めるべきか
支給要件まであと数か月というところなら、待つ判断もあり得ます。ただし決める前に、規程から金額を計算してみてください。
勤続3年前後で受け取れる額は、規程にもよりますが多くの場合それほど大きくありません。待つあいだにも年齢は上がります。第二新卒として評価される期間には限りがあるため、待つことにもコストがあります。
金額と時間を並べて比べてから決めるのが、後から悔いの残りにくいやり方です。
転職先に退職金制度がない場合の見方
退職給付制度がない企業は全体の24.8%です。制度がないこと自体が、その会社が良くないという意味にはなりません。
退職金の原資を月々の給与や賞与に回している設計の会社もあります。企業型の確定拠出年金を導入している会社もあり、退職年金制度がある企業の50.3%がこれを採用しています。
求人票には「退職金制度あり」とだけ書かれ、支給要件までは記載されないのが普通です。気になる場合は、選考の中盤以降に条件面の確認として聞けば問題ありません。
よくある質問
3年以内に辞めたら退職金は絶対に出ませんか?
そうとは限りません。支給要件は会社の退職金規程で定められるため、必要な勤続年数も会社ごとに違います。まず規程を確認してください。
退職金の金額はどこで分かりますか?
退職金規程に算定方法が書かれています。基本給に勤続年数ごとの支給率を掛ける形が一般的ですが、算定基礎額を別に定めている会社もあります。
中退共の通算は自分で手続きするのですか?
転職先が中退共に加入していることが前提で、通算の申し出が必要です。前の会社で退職金を請求してしまうと通算できなくなる点に注意してください。
退職金がない会社は避けたほうがいいですか?
退職金の有無だけでは判断できません。月々の給与、賞与、企業型確定拠出年金の有無まで含めて、受け取る総額で比べてください。
まとめ
- 退職金は法律上の義務ではなく、会社の規程で決まります
- 制度がある企業は74.9%で、規模が小さいほど割合は下がります
- 3年以内で出るかどうかは規程次第で、共通のルールはありません
- まず就業規則と退職金規程を見て、分からなければ人事に確認します
- 中退共なら、請求せずに3年以内に次の中退共加入企業へ移れば通算できます
退職金は、辞めると決めてから調べるより先に確認しておくほうが、選べる手が増えます。規程を1度見ておくだけで、待つべきか今動くべきかの判断がはっきりします。
\ 環境の問題かどうかは、外から見ると分かることがあります /
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